リフォーム事例集(外装リフォーム)
使用材料
補修に使用する材料は、劣化状態に相応した的確なものを使用しなければなりません。左官が元来、使用する材料は伝統的に無機質が多いのですが、補修・改修で使用する材料は有機質の合成樹脂の単独や無機質と併用したりして多様であります。そのため、材料の取り扱いには化学的知識と経験が必要とされます。ここでは最も一般的に使用される材料だけを列記しました。
【1】ポリマーセメントモルタル
ポリマーセメントモルタルは、セメント、細骨材にポリマーディスパージョンまたは再乳化形粉末樹脂を混合したモルタルで、合成樹脂と細骨材だけで構成される樹脂モルタルとは区分されています。また、セメントモルタルに比べると接着性、防水性、乾燥収縮性、耐薬品性、耐磨耗性、耐衝撃性などが向上するほか、中性化の抑制にも効果的です。
ポリマーディスパージョンとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)系ラテックス、アクリル酸エステル(PAE)系エマルション、エチレン酢ビ(EVA)系エマルションが、また再乳化形粉末樹脂としてはアクリル系、酢酸ビニル系の樹脂が多く用いられています。用途としては、コンクリート表面の下地調整・補修、床・階段等の舗装、タイル等の目地材、接着材、防水材などに使用されています。
ポリマーセメントモルタルを使っての欠損部充てん工法 | ||
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欠損部の確認 | ポリマーセメントペーストの塗布 | ポリマーセメントモルタルの充てん |
【2】エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は、末端に反応性の強いエポキシ基を持つ樹脂、エピクロルヒドリンとビスフェノール類または多価アルコールとの反応によって作られ、アミン類などによって反応硬化します。接着性や耐薬品性に優れているため、接着剤、樹脂モルタル、注入材、塗り床材、塗料などに広く用いられています。
注入工法に用いられるエポキシ樹脂接着剤には,注入用エポキシ樹脂と注入後の穴埋用エポキシパテがあります。
1.注入用エポキシ樹脂接着剤 |
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グリスポンプでの エポキシ樹脂注入 注入に用いるエポキシ樹脂接着剤は,JIS A 6024(建築補修用エポキシ樹脂)の3.1 ~3.4 の規定に適合する性質を有する物を使用しなければなりません。また部分注入に用いるエポキシ樹脂は,グリス状又はマヨネーズ状と言われる高粘度のタイプを用います。 |
2.穴埋め用エポキシパテ |
注入後の穴埋めに用いるエポキシパテは,ノンサグ型パテ状のエポキシ樹脂です。 |
【3】エポキシ樹脂モルタル
エポキシ樹脂モルタルは,均質で有害と認められる異物の混入があってはならなく製造後6 ヵ月保存によって,変質するものであってはなりません。
【4】ピンニング用アンカーピン
様々なアンカーピン
ピンニング工事に用いるアンカーピンは,ステンレス鋼棒の規格(JISG4303)に適合した物で,かつSUS-304 に適合し,寸法(長さ及び径)は使用目的に適した物でなければなりません。
【5】セメントスラリー
セメントスラリー注入器
セメントスラリー工法は外壁のモルタル仕上げ等の浮き間隙幅が,0.8mm以上の場合に浮き部分の要所をアンカーピンを用いてエポキシ樹脂で固定した後,浮き部分にポリマーセメントスラリーを注入して,浮き補修する施工法です。
ポリマーの材質は,エチレン酢酸ビニール系共重合体,スチレンブタジエン系共重合体,アクリル系共重合体のいずれかの物を用います。セメントスラリーは均質で,有害物を含んでいてはなりません。また、使用するポリマーは製造後6ヶ月間の保存によって変質するものでもいけません。
モルタル仕上げのリフォーム工法
改修工事は居住者の日常生活,生産,営業活動の中で,それらを損ねることなく,居住者,第三者への安全を確保し,更に近隣住民の生活,感情等の対策も考えながら,工事の管理を行わなければなりません。
改修工事の施行管理にも増して居住者,第三者,近隣住民に対する安全対策,特に事前連絡,協力要請,報告等住民とのコミュニケーションを良くし,その協力を得ることが改修工事の成功に不可欠であります。
モルタル補修の概念
区分A:劣化が微細であり、下地層まで及んでいない状態。
区分B:劣化が激しく、下地層から処置しなければならない状態。
【1】U カット可撓性エポキシ樹脂充てん工法
可撓性エポキシ樹脂を使用することで補修表面の塗装が可能になり、補修跡を被うことができます。この工法はひびわれの成長がないと診断された際用います。
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【2】U カットシーリング材充てん工法
成長が予想されるひびわれをシーリング材の弾性により追従性を持たせ同時に防水性気密性をも合せ持たせることができる工法でモルタル一体化する必要のない場合に用います。
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【3】アンカーピンニング注入併用工法
この工法は、外壁モルタルの浮き部分を躯体コンクリートに密着させるために穿孔部分にエポキシ樹脂を充填し、これにステンレス製のピンを挿入して、躯体コンクリートにアンカーするとともに、浮き部分も接着固定する工法でこれをアンカーピンニング工法といいます。
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【4】自動低圧注入
ひび割れ部分及びモルタル浮き部分をエポキシ系注入材で注入を行ないますが、ひび割れ幅0.2mm~0.25mmと小さい部分では手動式低圧樹脂注入工法を用います。
代表例を紹介します。
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【5】ポリマーセメントモルタルによる欠損部充てん工法
モルタルが欠けたり剥落した箇所はポリマーセメントモルタルやエポキシモルタルで欠損部を充填します。欠損部が深かったり、広い場合にはアンカーピンや補助筋なども使用します。
代表例を紹介します。
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【6】エポキシモルタルによる欠損部充てん工法
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【7】セメントスラリー工法
外壁のモルタル仕上げ等の浮き間隙幅が,0.8mm以上の場合に浮き部分の要所をアンカーピンを用いてエポキシ樹脂で固定した後,浮き部分にポリマーセメントスラリーを注入して,浮き補修する施工法です。この補修方法は、部分張替工法に比べ、外観色調を変えることなく、また、工事に伴う騒音も少ないので、使用中の建物に対し、多く適用されています。
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セメントスラリーの注入 |
左官塗り替え工法
既存建築物の再活性化,つまり建築物の耐久性向上を附与する工法でもあります。改装における旧仕上層を除去をしその後,下地調整をおこなってから塗り替えする工法と旧仕上層を生かして塗り替える工法があります。
【1】旧仕上層を除去し塗り替えする工法
旧仕上層を除去するときはケレン棒,皮スキ等の工具を使用します。撤去後,鉄部の露出個所があれば錆止めの処理をします。旧仕上げ材が繊維壁等はアク,シミの影響を受けるためアク止め剤を塗布します。
仕上げ層の剥離・除去の方法は、
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例:旧仕上層が弾性の吹付の場合には剥離材を用いて軟化させてケレンする |
などがあります。旧仕上げ層の剥離・除去の作業が完了した後は,雨漏れ,水漏れ,鉄筋錆び等の調査をおこない,コンクリート・モルタル等の脆弱部分の劣化を補修し下地調整をおこないます。 |
【2】旧仕上層を生かして塗り替える工法
成長が予想されるひびわれをシーリング材の弾性により追従性を持たせ、同時に防水性気密性をも合せ持たせることができる工法で、モルタル一体化する必要のない場合に用います。
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【3】仕上げの種類
仕上げの種類を大別すると次のとおりになります。
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【4】外壁複合改修工法
劣化や損傷を受けたコンクリート下地の外壁に適用された補修・改修に対する在来工法は,アンカーピンニングやエポキシ樹脂注入あるいは樹脂モルタルによる充填などでありますが、劣化や損傷の状況に応じて,これらの工法を併用したり,既存の仕上げであるモルタルや陶磁器質タイルをはつり取り,その後で塗替えたり,張替えたりしてゆく工法です。この工法は,コンクリートを下地とする建築物の外壁が劣化した場合に,既存の外壁仕上げ層(湿式工法のタイル張りやモルタル塗り)を撤去しないで下地の上に存置したまま,アンカーピンと繊維ネットで押えて改修します。アンカーピンによる仕上げ層の機械的な剥落防止効果および繊維ネットと塗付け材料による仕上げ層の一体化や面的な補強効果をもたせて,外壁の耐久性向上を図るとともに予防保全効果を付与して,剥離や剥落の防止に有効性が高い改修工事を実施する技術でもあります。
当該工法を適用して改修された外壁は、下図 に示されるような断面構成となります。
外壁複合改修構工法の断面構成
適用するアンカーピンの形状や繊維ネットの種類によって詳細な施工仕様は異なります。
代表的な2工法の比較 | |
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【5】ピンネット工法
既存モルタルを丁字型ステンレスピンにより部分結束させ,表面よりポリマーセメントモルタルを塗り付け,これにポリエステル又は,ガラス製ネットをすり込むことにより,既存モルタルを集成板的に活用させる工法です。既存モルタルの浮き,ひびわれに関係なく施工ができるので予算立てが容易で,ひびわれの再発生が少なく,作業が比較的容易でコストが安い等の特色が有ります。
1. T字型ステンレスピン | 2. ピンのたたきこみ | 3. 繊維状ネットのふせこみ |