お待たせいたしました。先日応募募集させていただいました『第1回しっくいフォトコンテスト2022』の入賞作品の発表です。
 まず応募者をはじめ本事業に携わっていただきました関係各位に対し、御礼申し上げます。

 当会で現在勧めている「しっくい仕上げ普及推進プロジェクト」。しっくいの良さのPRと左官工事を増やす取り組みの情報提供の一環として、本コンテストが開催され、全国会員から102件の応募(A部門(町場)31件・B部門(野丁場)12件・C部門(店舗)19件・D部門(伝統工法)19件・E部門(リフォーム)21件)があり、10月11日(火)に日左連会長をはじめ計7名の審査員(日左連石川隆司会長・日本漆喰協会行平信義会長・(株)工文社「建材フォーラム」久保賢二編集長・雑誌「コンフォルト」多田君江エディトリアル・ディレクター・日左連広報委員会菅野喜仁委員長・日左連左官工事PR・構造改善委員会嵜上修二郎委員長・日左連青年部河合滋本部長)による審査会を実施しました。(本件は、日左連誌11・12月号(11/10発刊予定)特集に掲載)

 大賞には、岐阜県の㈱小倉左官店の「田尻歴史館(大阪府指定有形文化財)耐震補強等保存修理工事」を選出しました。その他、金賞以下の入賞作品をご紹介いたします。

大 賞 作品No:D-3(伝統工法部門)

田尻歴史館(大阪府指定有形文化財)耐震補強等保存修理工事

制 作 者
(企業名)
株式会社小倉左官店
(岐阜県左官業組合連合会)
建築物名
(工事名)
田尻歴史館
(大阪府指定有形文化財)(耐震補強等保存修理工事)
材 料 名 田川産業(株)専用練り漆喰、専用ねずみ漆喰
仕上げ名 天井蛇腹(型作成)復元作業、髭子(トンボ)打ち、木づり下地、壁面木づり下地、髭子(トンボ)打ち砂漆喰下地、中塗り、専用練り漆喰仕上げ

「審査員コメント」(コメントを頂戴した審査員のみ掲載)

石川隆司(委員長)
「左官技能の基本 道具、工具、作り、作業・材料作り作業・墨出し作業・下地処理(木摺り)作業・下塗り、中塗り、上塗り作業の全てが施工されており、「技能、技術の優秀性」が申し分なく充分に認められる。」
行平信義(委員)
「文化財の修復で下地からの復元工事であるが、左官技術の粋を極めたような端正な仕上がりである。40cm幅及ぶ精綾な蛇腹や内部Rの銀杏面も型取りして鎮の作成から始めている。こうした役物だけでなく壁面の押さえにも全く隙が無い。」
久保賢次(委員)
「大賞作品のしっくい壁では、木摺り下地にしっかりトンボが打たれ、力量ある職人の手で下塗りが施されています。また、壁面左右のヒゲの伏せ込み、中塗り、上塗り、こなし作業も丁寧に行われていることが、写真を通じての限られた情報下ではありますが、仕上面から想像できました。また、しっくい壁、天井部の蛇腹仕上げ、拭き漆風の腰壁と木質廊下がここでは見事に調和しており、素朴な中にも重厚感の漂う空間を創出しています。」
多田君枝(委員)
「砂を入れたり色やパターンをつけたり造形するなど、漆喰は、左官職人の技術とアイデア次第で、多様な表現ができることがわかるコンテストでした。大賞は伝統技法を再現しており、多くの方に示唆を与えると思います。」
河合 滋(委員)
「大きな天井蛇腹と関口隅部のしっくいの曲線がとても美しく、そのデザイン性と技術力の高さを評価いたしました。ビニルクロスでは表現できないこの作品を、一般の方にもぜひ知ってもらいたいと思います。」

(コメントを頂戴した審査員のみ掲載)

***以下 金賞以下の入賞作品を紹介いたします***
(こちらをクリックいただけるとPDFで一覧が開きます)