スタッコ仕上げのテクスチュア
石造風の独得の素材感や重厚さを容易に得られ、質感の幅も広い
本来は、塗り付けたセメントモルタルなどの塗り材を鏝や木片で叩いて引き起こす仕上げを指したが、その後、既調合セメントリシン材や合成樹脂エマルション系の吹き付けスタッコ材も登場して工法自体も変化していき、仕上げた際の質感の幅はより広がっている。変化に富んだ凹凸紋様のテクスチュアを表現でき、石造建築風の独得の素材感や重厚さを比較的容易に得ることができる。 |
樹脂モルタルスタッコ仕上げ |
歩掛 4m2/人日 特徴 厚付け仕上げ塗り材である樹脂モルタルを鏝塗りして厚さ4~10mm程度の凹凸紋様に仕上げたもの。 |
ドロマイトプラスタースタッコ仕上げB | 色モルタルスタッコ仕上げ | |
歩掛 4m2 /人日 特徴 ドロマイトプラスターを厚付けして、鏝で叩いて引き上げる、本来の工法による仕上げ。 |
歩掛 4m2 /人日 特徴 色モルタルを塗り付け鏝で型付けする。その後、表面が適当な締まり具合になった頃合いを見て、凸部を鏝で軽く押さえる。 |
色漆喰スタッコ仕上げ | 糊土壁スタッコ仕上げ | |
歩掛 4m2 /人日 特徴 顔料を混入した漆喰を厚塗りし、鏝で叩いて引き起こして仕上げる。漆喰独特の柔らかな肌合いが感じられる。 |
歩掛 4m2 /人日 特徴 色土と川砂をふのりの溶液または粉末糊で練り合わせて厚塗りしたものを、鏝押さえして仕上げる。 |
変化に富んだ質感と重厚な高級感を表現 |
■特色 |
もともと「スタッコ」とは、米国における外部塗り壁の総称。我が国には大正時代に移入され、昭和40年頃よりマンション・大型ビルなどで頻繁に施工されるようになった。その定義は地域によって多少の幅があるが、ここでは材料にかかわらず「鏝塗り仕上げ」に限定する。変化に富んだ石造建築風の質感と重厚な風合いが特徴で、比較的コストをかけずに高級な仕上がりが実現できる。 |
■適した部位 |
住宅および一般建築の内外壁、天井などに用いられる。 |
■性能評価 |
材料により、それぞれ「セメントモルタル塗」「プラスター塗」「漆喰塗」「土壁塗」などの項を参照のこと。 |
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■施工工程(樹脂モルタルスタッコ仕上げ/コンクリート下地の場合) |
下塗りはモルタルを下地に塗り付け、木鏝で押さえておく。乾燥後、塗り材を下擦りして上付けする。付けしろを厚くする場合は、中塗りを行った後、上塗りする。 |
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■下地(樹脂モルタルスタッコ仕上げの場合) |
コンクリート下地をはじめ、セメントモルタル下地、ALCパネル下地などが一般的。 |
■材料と調合 |
スタッコに用いられる厚塗り材には、塗料に近いものから左官材料に含まれるものまで多種多様な製品が市場に出回っている。それらの材料は一般に、セメント系および合成樹脂などの結合材、砂などの骨材、顔料などで構成されている。 |
■仕上げ |
樹脂モルタル、ドロマイトプラスター、色モルタルなどのセメント系のほか、色漆喰、糊土壁を使用したスタッコ仕上げが可能。セメント系の場合は、塗り厚が5~8mmぐらいまでは1度で塗り付けても良いが、それ以上の場合は2回に分けて塗り付ける。塗り材は鏝塗りした後、専用器具または木鏝で引き起こしをする。その後、表面が硬化した時期を見計らって凸部を軽く鏝で押さえて仕上げる(引き起こしたままで仕上がりとする場合もある)。最近では、特殊な型押しローラーで押さえて変化に富んだ紋様を付ける方法も普及している。 |
■メンテナンス |
施工後のクレームの要因には「材料」「下地」「施工方法および施工条件」の三つが考えられる。特に表面のムラ、ふくれ、剥離などは下地に原因があることが多いので、仕上げ材ごとに指定された下地処理を確実に行うことが望ましい。 |
ドロマイトプラスター上塗りの施工 | 引き起こし(叩き)の作業 |