素材と工法(工法:人造石仕上げ工法)
人造石仕上げ工法
人造石仕上げはセメントや石灰に骨材に大理石や玉石を混入して自然天然石のように見せるものです。工法は洗う、研ぐ、掻き落す、埋め込む等によって、それぞれが装性があり、意匠的にも高度なものが可能です。明治以後に日本に入ってきて、その後、先人の努力によって、日本独自の工法に改良されたものも多くあります。
【1】人造石洗い出し仕上げ
人造石洗い出しとは、仕上げ面を天然石のように見せる手法である。セメントや石灰類をベースとした配合で砕石あるいは天然の細い玉石を塗り付けた後、水引具合を見計らい刷毛や噴霧器でノロを洗い落とします。
洗い出し仕上げ
ポンプを使って表面のノロを洗い流します。
【2】種石埋め込み仕上げ
種石埋め込み仕上げは骨材のあらわし仕上げの一種です。種石が30mm以上というように大きな玉石を用いるときモルタルに混入して塗り付け洗い出すことが困難な場合に用います。種石の大小 色彩によって様々な表現が可能です。
種石埋め込み仕上げ
種石の大小、形状を選択しながら一粒づつモルタルに埋め込みます。本埋め工法は石と石がくっつき合うようして埋め込み目地が「人」の形になるようにします。
【3】現場テラゾ仕上げ
テラゾはイタリア語のテラツィオから出たものです。工場で生産される人造テラゾと現場で作られる現場テラゾとがあります。大理石の砕石(10mmから~12mm)を顔料で着色したセメントペーストで練ったものを塗り付け、硬化後に表面を砥石で研磨して平たんにし、さらにつや出しをして仕上げる工法をいいます。現場テラゾは対磨耗性が大きく意匠性に富んでいるので、主にコンクリート構造の床、壁、腰壁等に用いられています。床仕上げには、密着工法、絶縁工法、中間工法の三種類があり、それぞれ下塗りの工程が異なります。
現場テラゾ仕上げ
日左連会館の床
真鍮目地で区切ることによって図柄が表現できます。
【4】人造石研ぎ出し仕上げ
人造石研ぎ出しは、ポルトランドセメントと種石(砕石)を混合して混練りしたものを塗り付け、硬化の程度を見計らって荒研ぎ・中研ぎを行い、ノロで目つぶしをしてから十分硬化させた後、仕上げ研ぎをする工法です。人造石研ぎ出しと現場テラゾの違いは、工法上それほど違いはありませんが、人造石研ぎ出しは5mm目程度の細かい砕石を使用し、現場テラゾは12mm程度の篩目を通過した大きな種石を使用します。そのため厚みも種石の大きさに伴って人造石磨きより現場テラゾの方が厚く塗り付けます。
人造石研ぎ出し仕上げ
研ぎ出し作業で荒研ぎの工程、砥石ペーパーを順次、細かくしていきます。
【5】リシン掻き落し仕上げ
リシン掻き落し工法は、セメント、石灰類に1.5mm~5mm以内の天然石を混ぜ合わせて練ったものを、厚さ9mm以上に塗り付けます。凝結硬化の初期に金ぐし、鏝、ブラシ等を用いて掻き落し、その表面を仕上げる工法であります。最近では珪藻土入りの掻き落とし仕上げが多く採用されています。筋掻き落としにすることによってエンボスと深みのある土の地肌が再現されます。
リシン掻き落し仕上げ
剣山やワイヤブラシで壁面を掻き落として仕上げます。掻き落とす道具や掻き方によって表情は変わります。