木舞に使用される素材

我が国は竹の種類が多く、中でも木舞に用いる竹は真竹、男竹、女竹、しの竹などで各地域により産出したものが使用されています。木舞に用いられる竹は塗り壁下地として重要なもので、竹の剛性により塗壁の耐久性に大きく影響されます。竹はいずれも発芽後3年以上生育したもの、毎年10月頃の伐採したものを使用します。この季節以外に採取したものは害虫がつきやすく腐食する恐れがあるからです。

【1】まだけ(真竹・男竹・ほん竹・唐竹・若竹)

近畿地方に多く産出して岩手県以北にはほとんどないとされています。成長すると材色は深緑で高さ20m、径5cm、節間50mmに達します。性質は強靱で細割にして使用することに適しています。肉は比較的薄く、木舞竹のほか昔から多様に利用されています。

まだけを割る道具

まだけを割る

【2】しの竹(篠竹・女竹・やまと竹・なかよ竹)

全国いたるところに野生します。伊豆・安房・山城・伊予産が最良とされ最近では海外からの輸入もあります。成長すると材色は緑に近く、高さ6m、径2.5cm、節間50cmぐらいに達します。しの竹の特徴は節は低く、柔軟性があり、肉薄であるが粘力性に富みます。またしの竹は木舞のほかに釣り竿、竹垣にも使用されます。

【3】掻き縄(藁縄・しゅろ縄)

一般には経3~4mmの藁縄を使用しますが、高級工事ではしゅろ縄、たたみ用糸、さらに特殊な場合には三味線の糸が用いられました。割竹を格子状にくみ、藁またはしゅろ縄で編みつけることを「かく」「かきつける」と表現します。かき縄の藁は古藁の方が壁面に黄色のあくを出さず、もち米の藁が最良されています。最近では作業性、締め付けがよいことでポリプロピレンの合成繊維が用いられています。