素材と工法(素材)
その他の左官仕上げ工法
左官工法は無機質の材料を使用するに留まらず、有機的素材(合成樹脂仕上げ)も多く使われています。また、かつては左官の範疇であったタイル・吹付等の工法も現在、積極的に取り入れている日左連の会員も多く存在しています。
【1】合成樹脂の仕上げ
合成樹脂仕上げは、材料は工場での配合であるため、現場でのマニュアルを間違えなければ、施工性もよく、硬化時間も調整できます。表現も多様に富んでおり、今後は多くの需要が見込まれるでしよう。
特に合成樹脂の塗床材は、継目がなく、美観と耐久性にすぐれ、種類によっては耐薬品性にもすぐれていて、利用範囲が広いといえます。その上、現場での鏝塗りなので、納まりなどに融通がきくという利点があります。床材に限らず合成樹脂の仕上げは標準色も多く用意され、着色も自由にできることも特徴の一つです。価格も比較的安く、下地に対する接着力が強いので、いろいろな下地に応用されています。
【2】こて塗用軽量骨材仕上げ
軽量骨材仕上塗りは,内壁や天井の化粧用上塗材料として用いるものであります。有機質または無機質の繊維材料・色土・パーライト等の粒状物,糊材料を主原料としており、色、テクスチェアー等に種類が多く、様々な下地に適用可能です。
【3】ローラー仕上げ
内外装の仕上げは、施工方法により「こて仕上げ」、「ローラー仕上げ」および「吹付け仕上げ」に大別されます。このうち「こて仕上げ」と「ローラー仕上げ」は、施工時に材料が飛び散らず騒音がないのが特徴です。また、仕上げを行わない部分を汚れないようにするためのシート等による養生も少なくてすみ、廃棄物の低減にもなります。
特にリフォーム工事においては、近隣への配慮から「吹付け仕上げ」よりも「ローラー仕上げ」が多用される傾向にあります。
形成される模様には、スチップル状、さざ波状のほか、ローラーに施されたデザインが表現できる特殊模様などがあります。
ローラー仕上げ
【4】吹付仕上げ
塗材の種類に応じた専用の吹付け器具を使用することにより、砂壁状、京壁状、凹凸状、ゆず肌状、スタッコ状等の模様形成が可能です。また、機械を用いた施工ですから作業がスピーディーで大面積の工事に有効です。
吹付け機は塗材を粒状または霧状にして塗着させるもので、材料自体に強い圧力をかけて飛散させるエアレス方式とコンプレッサーで圧縮された空気によって材料を飛散させるエアースプレー方式とに大別されます。
何れの方法においても、材料のミストが周辺に飛散しますので、仕上げを行わない部分や植栽など仕上げ面の周辺を汚さないように注意する必要があります。
吹付仕上げ
1:吹付仕上げで代表的なものは
- リシン(表面がざらざらした砂状の仕上塗材)
セメントを結合材とした砂状仕上材をセメントリシンと云い,合成樹脂エマルションを結合材とした砂状仕上材を樹脂リシンと一般に云います。樹脂リシンがコンクリート造外壁に最も多用されています。 - 吹付けタイル(吹付けガンを用い復層に重ねた複層仕上塗材)
吹付けタイルは総複層仕上塗材で、下塗材,主材及び上塗材の3 種の材料から構成されれています。主材には各種の材料が用いられているが,立体的な模様(パターン)を形成するとともに防水性を兼ね備えているものもあります。 - スタッコ(厚付け仕上塗材)
スタッコは単層が主なもので,セメント系,合成樹脂系及びシリカ(硅素)系の8 種類があります。凹凸模様を有し、4~10mm程度の厚い塗り厚にまで仕上げることができます。
等の仕上材を云います。
2:代表的な塗料として
- 無色透明で変退色に耐えるアクリル樹脂系クリアー及びエナメル
- 2液形ポリウレタンクリアー及びエナメル
- 常温硬化のフッ素樹脂塗料
- アクリルシリコーン系塗料